2012年8月27日月曜日

吃音スペシャリスト養成講座(Advannce)のご報告など

去る8月25日7時半から10時まで、吃音スペシャリスト養成講座(Advannce)
が、多摩市永山 ビジネススクエア多摩交流スペースで行われました。

K大学の学生、言語聴覚士、つくばことばと心のクリニックの言語聴覚士 5名の受講者が
夜遅くなのに、熱心に英語の文献に取り組みました。

オーストラリアの文献ですが、わからないことは、直接著者にメールで聞くことにしました。
オーストラリアの学者にメールしたところ、日本でも吃音治療しているのですか?と驚かれ、
まだまだ日本の世界での認知度は低いな、と実感しました。

30年前、アメリカで講義させていただいたとき、日本では畳で座って臨床するのですか?
と聞かれ、あんぐり?  でもみなの努力でアメリカ、イギリスあたりでは、日本の吃音臨床
は理解され、多少の関心をひいているようです。

これからは、日本独自の新しい理論の展開を世界に示す時代にならねば、と思っています。

とても良い本を紹介します。

高野てつや  「暴走する脳科学」  新書版です。

  心とは、その人のふるまい、ことば、成果などすべての中にある、決して脳の中に鎮座して
 いるものではない・・・そうです。

さて、Journal of fluency disorders  の  Theory and therapy in stuttering:
A complex relationship      Ann packman
の論文の要約を示します。

現在、小児、成人双方の吃音に対する多くの治療法がある。
これらは、吃音の発話行動の重大さ、頻度を現象することを目的とした直接的介入から
不安や病気も含みうる様な精神的健康問題を緩和することを目的としたものにもわたっている。
しかし、これら多くの治療法の支えとなるようなデータはほぼなく、治療法を使用する際の統一的見解もない。
吃音の治療法を評価する他の方法は、障碍の原因に焦点を当てる範囲を探索することである。しかし、吃音の原因はいまだにわかっていない。
この論文で3つの原因となる要因のモデルを示す。
このモデルの仕組みは異なる治療法を提携させる際に有効であると考えられ、吃音の説明を
試みるという点で革新的であり、すべての原因的な要因が吃音時に作用していることが主張
される。
また、このモデルは原因の新たな見方、原因を治療によってどのように処理するかを意図する。
この論文が議論の刺激となり、研究のさらなる輪郭を導くことを望む。

                            (文責:宮尾朱音)